同類性Homophily
一言で言うと人は自分と似た人とつながりやすく、その結果、情報や考え方がネットワークの中で局所的にとどまりやすいという視点。
中核的な問い
友人、相談相手、仕事仲間を見渡すと、年齢、学歴、職業、考え方などが自分と似た人が多い。これは単なる好みの問題なのか。それとも、出会う機会の偏りなど、社会の仕組みから生まれるのか。そして、この偏りは何をもたらすのか。
主張とメカニズム
McPherson, Smith-Lovin & Cook (2001) は、同類性を「似た人どうしの接触が、似ていない人どうしの接触よりも高い頻度で起こるという原理」と定義した。そして、人種や民族、性別、年齢、宗教、学歴、職業などの属性(地位の同類性)や、価値観や態度(価値の同類性)について、結婚、友人、職場の人間関係など多くの種類の関係で同類性が見られることを、先行研究をもとに整理した。
著者たちは、同類性を二つに分ける。一つは、出会える人の顔ぶれがそもそも偏っていることから生じる「基準となる同類性」である。もう一つは、その偏りを考慮してもなお残る「内集団的な同類性」である。同類性の源泉としては、地理的な近さ、家族の結びつき、学校・職場・自発的な団体といった組織、同じような役割に就くこと、そして似た人のほうが話が通じやすいといった認知的な過程が挙げられる。また、似ていない人とのつながりは、似た人とのつながりよりも切れやすい。
その結果、ネットワークを通じて流れる文化、行動、情報などは、局所的にとどまりやすい。人が受け取る情報、形づくる態度、経験するやりとりが、自分と似た人の範囲に限られやすくなる。
身近な例
たとえば、ある大学のゼミで、同じ部活やサークルの学生どうしがいつも同じグループになるとしよう。本人たちは「気が合うから」と思っているが、そもそも授業外で会う機会が多いのはその相手である。気の合わない人とは、グループが変わると自然に疎遠になる。こうして情報も似た人の間で回り、別のグループが知っている授業や就職の情報は届きにくくなる。
主要概念
- 同類性(homophily)
- 似た人どうしの接触が、似ていない人どうしの接触よりも高い頻度で起こるという原理。
- 地位の同類性(status homophily)
- 人種、性別、年齢、学歴、職業など、社会的な属性が似た人どうしが結びつくこと。
- 価値の同類性(value homophily)
- 価値観、態度、信念が似た人どうしが結びつくこと。
- 基準となる同類性(baseline homophily)
- 出会える可能性のある人の顔ぶれがそもそも偏っていることから生じる同類性。
- 内集団的な同類性(inbreeding homophily)
- 出会いの機会の偏りを考慮しても、なお残る同類性。
代表的な展開研究
- Ibarra, H. (1992). Homophily and differential returns: Sex differences in network structure and access in an advertising firm. Administrative Science Quarterly. DOI ↗広告会社の社員のネットワークを調べ、男性と女性とで、同性とつながる程度や、関係の種類によるつながり方が異なり、それが得られる資源の違いにつながることを示した。
- Kossinets, G., & Watts, D. J. (2009). Origins of homophily in an evolving social network. American Journal of Sociology. DOI ↗大学のコミュニティの時系列データを用い、似た人を選ぶ好みと、友人の友人や同じ授業の人とつながりやすいという構造的な機会の偏りが重なることで、弱い好みでも強い同類性が生まれうることを示した。
批判と境界条件
原典自身、多くの研究が一時点の観察にとどまり、つながりがどのように生まれ、切れていくのかという動きはまだ十分に分かっていないと述べている。また、似た人どうしが結びついている様子が見えても、似ているから結びついたのか、結びついた後に互いに影響しあって似てきたのかは区別しにくい。Shalizi & Thomas (2011) は、観察データだけでは、この二つを一般には切り分けられないことを示した。
研究上の位置づけ
Birds of a feather: Homophily in social networks
出典
- 原典McPherson, M., Smith-Lovin, L., & Cook, J. M. (2001). Birds of a feather: Homophily in social networks. Annual Review of Sociology. DOI ↗
- Shalizi & Thomas (2011). Homophily and Contagion Are Generically Confounded in Observational Social Network Studies. Sociological Methods & Research. ↗
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