理論・視点

Institutional Logics制度ロジック

一言で言うと

市場、専門職、家族、国家、宗教など、社会には複数の「当たり前」の考え方(ロジック)がある。どのロジックが優勢かによって、組織や人が何を重視し、どう行動するかが変わる、とする視点。

説明したい問い社会にある複数の価値観や規範は、組織や個人の行動をどう方向づけ、どうぶつかり合うのか。
原典Thornton, P. H., & Ocasio, W. (1999)
Institutional logics and the historical contingency of power in organizations: Executive succession in the higher education publishing industry, 1958–1990
分類Theoretical perspective
分析単位個人 · 組織 · コミュニティ
理論系譜制度論 · 社会学
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中核的な問い

制度的同型化は組織が似ていくことを説明したが、組織が変わっていくことや、組織の中で価値観がぶつかることは説明しにくかった。複数の制度が同時に存在するとき、何が起こるのか。

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主張とメカニズム

Thornton & Ocasio (1999) は、米国の高等教育出版業界を分析した。出版社の経営者の交代を決める要因が、編集者としての専門職ロジックが強い時代と、市場ロジックが強い時代とで異なることを示した。

ロジックは、何が正当な目標か、何が注目に値するか、どう行動すべきかを人々に与える。複数のロジックが併存すると、組織は対立を抱える一方で、それを組み合わせて新しい実践を生むこともある。

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身近な例

病院には「患者の命を最優先する」医療専門職のロジックと、「効率と採算」を求める市場のロジックが同時にある。医師と経営陣の対立は、個人の性格ではなく、ロジックの衝突として理解できる。

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主要概念

制度ロジック(institutional logic)
社会的に共有された前提、価値、信念、ルールのまとまり。
制度的複雑性(institutional complexity)
相容れない複数のロジックに同時に直面している状態。
ハイブリッド組織
社会的使命と事業収益のように、複数のロジックを組み合わせた組織。
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代表的な展開研究

  • Thornton, P. H., Ocasio, W., & Lounsbury, M. (2012). The Institutional Logics Perspective: A New Approach to Culture, Structure, and Process. Oxford University Press. DOI ↗家族・共同体・宗教・国家・市場・専門職・企業という七つの理念型を体系化した。
  • Battilana, J., & Dorado, S. (2010). Building sustainable hybrid organizations: The case of commercial microfinance organizations. Academy of Management Journal. DOI ↗マイクロファイナンス機関が、採用と社会化によって二つのロジックを両立させる過程を示した。
  • Pache, A.-C., & Santos, F. (2013). Inside the hybrid organization: Selective coupling as a response to competing institutional logics. Academy of Management Journal. DOI ↗社会的企業が、競合するロジックの要素を選んで組み合わせる戦略を示した。
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批判と境界条件

ロジックの数や種類が研究ごとに増え、何でも「ロジック」と呼べてしまう概念の拡散が指摘されている。ロジックを実証的にどう測るかも課題である。また、ロジックが行動を決めるのか、行動がロジックを作るのかという方向の問題も残る。

REFERENCES

出典

  • 原典Thornton, P. H., & Ocasio, W. (1999). Institutional logics and the historical contingency of power in organizations: Executive succession in the higher education publishing industry, 1958–1990. American Journal of Sociology. DOI ↗

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