理論・視点
Institutionalized Organizations (Myth and Ceremony)制度化された組織(神話と儀式)
一言で言うと組織の公式な構造は、仕事の効率のためではなく、社会で「合理的」とされる考え方(神話)を儀式的に取り入れた結果であることが多い。実際の業務とは切り離されていることもある、とする理論。
説明したい問い組織の公式な構造は、なぜ実際の仕事のやり方と一致しないことがあるのか。
原典Meyer, J. W., & Rowan, B. (1977)
Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony
Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony
分類Theory
分析単位組織
理論系譜制度論 · 社会学
01
中核的な問い
組織には多くの部署、規程、役職がある。それらは本当に仕事を効率よくするためにあるのか。そうでないなら、なぜ存在するのか。
02
主張とメカニズム
Meyer & Rowan (1977) は、近代社会には「こうすれば合理的だ」という考え方(合理化された神話)が広まっていると論じた。組織はそれを公式構造として取り入れることで、周囲から正統だと認められ、資源や生存の可能性を得る。
ただし、神話どおりの構造は現場の効率的な仕事と矛盾することがある。そこで組織は、公式構造と実際の活動を切り離す(脱連結)。外からの点検は儀式的に済ませ、「きちんとやっているはずだ」という信頼で互いに支え合う。
03
身近な例
多くの企業が倫理綱領やダイバーシティ方針を掲げているが、現場の評価や昇進の実態とはつながっていないことがある。方針は対外的な正統性のために存在し、日々の業務は別の論理で動いている、という典型的な脱連結である。
04
主要概念
- 合理化された神話(rationalized myths)
- 根拠が十分に確かめられていないが、「合理的だ」と社会で広く信じられている規則や手法。
- 脱連結(decoupling)
- 公式な構造・方針と、実際の活動とを切り離すこと。
- 正統性(legitimacy)
- 組織の存在や行動が、社会的に適切だと受け入れられている状態。
05
代表的な展開研究
- Westphal, J. D., & Zajac, E. J. (1998). The symbolic management of stockholders: Corporate governance reforms and shareholder reactions. Administrative Science Quarterly. DOI ↗役員報酬プランの「発表」だけで株価が反応し、実際には導入されないことも多いと示した。
- Bromley, P., & Powell, W. W. (2012). From smoke and mirrors to walking the talk: Decoupling in the contemporary world. Academy of Management Annals. DOI ↗方針と実践の脱連結に加え、「手段と目的の脱連結」という形を提示した。
06
批判と境界条件
脱連結がいつ起こり、いつ起こらないのかという条件の特定が不十分だった。近年は監査や評価の広がりで、形だけの導入が難しくなっているとの指摘もある。また、組織を受け身の存在として描きすぎているとの批判がある。
出典
- 原典Meyer, J. W., & Rowan, B. (1977). Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony. American Journal of Sociology. DOI ↗
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