Sensemaking意味形成(センスメイキング)
一言で言うと人は、予想外の出来事に出会うと、手がかりを拾い、もっともらしい筋書きをつくり、それに基づいて動く。組織とは、この意味づけと行動が絶えず繰り返される過程だとする視点。
Sensemaking in Organizations
中核的な問い
「ここで何が起きているのか」「では、どうすればよいのか」。センスメイキング研究は、この二つの問いに人々がどう答えていくかを扱う。意思決定を「選択肢から選ぶこと」と捉えるより前に、そもそも状況をどう理解するかに焦点を当てる。
主張とメカニズム
Weick (1995) は、意味形成の特徴として、アイデンティティに根ざすこと、振り返りによって行われること、環境を自ら形づくること(イナクトメント)、社会的であること、進行中であること、手がかりに依拠すること、正確さよりもっともらしさを重視すること、の7つを挙げた。
人は行動した後で、その行動を振り返って意味を与える。そして与えた意味が次の行動を方向づける。正確な理解を待っていると動けないため、「とりあえずもっともらしい解釈」で動き、動いた結果から解釈を修正していく。この循環が組織化そのものだとされる。
身近な例
新しい上司が会議で発言を遮ったとき、部下たちは「厳しい人だ」「急いでいるだけだ」など様々に解釈し、その解釈に沿って振る舞いを変える。振る舞いが変わると上司の反応も変わり、最初の解釈が「確かめられた」ように感じられる。職場の空気は、このような意味づけの積み重ねからできている。
主要概念
- イナクトメント(enactment)
- 人が行動することで、自分が向き合う環境そのものを部分的につくり出すこと。
- 手がかり(cues)
- 意味づけの出発点となる、状況の中から選び取られた断片的な情報。
- センスギビング(sensegiving)
- 他者の意味形成に影響を与えようとする働きかけ。リーダーによる方向づけなどを指す。
代表的な展開研究
- Gioia, D. A., & Chittipeddi, K. (1991). Sensemaking and sensegiving in strategic change initiation. Strategic Management Journal. DOI ↗大学の戦略変革を事例に、トップが意味を「与える」過程(センスギビング)を概念化した。
- Weick, K. E., Sutcliffe, K. M., & Obstfeld, D. (2005). Organizing and the process of sensemaking. Organization Science. DOI ↗意味形成を、注意・分類・名づけ・行動の連なりとして整理し直した。
- Maitlis, S., & Christianson, M. (2014). Sensemaking in organizations: Taking stock and moving forward. Academy of Management Annals. DOI ↗研究の蓄積をレビューし、定義や論点を整理している。
批判と境界条件
「もっともらしさ」を重視するため、誤った解釈が集団で強化される危険も同時に説明してしまう。何が良い意味形成なのかという評価基準は明確でない。また、権力や資源の偏りによって、誰の解釈が通るかが決まる点を軽視しているという指摘がある。方法論的には、事後的な事例解釈に頼りやすく、反証しにくい。
出典
- 原典Weick, K. E. (1995). Sensemaking in Organizations. SAGE Publications.
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