理論・視点

Communities of Practice実践共同体

一言で言うと

学習は、頭の中に知識を取り込むことではなく、ある実践を共有する人々の集まりに加わり、周辺から次第に中心へと参加を深めていく過程だとする視点。

説明したい問い人は仕事や技能を、教室や研修の外で、どのように身につけていくのか。
原典Lave, J., & Wenger, E. (1991)
Situated learning: Legitimate peripheral participation
分類Theoretical perspective
分析単位個人 · チーム · コミュニティ
理論系譜社会学 · プロセス
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中核的な問い

従来の学習観は、知識を個人が頭の中に蓄えるものと考えてきた。しかし、職人や専門職の技能の多くは、教科書よりも現場で先輩と一緒に働くなかで身につく。学ぶとは、そもそも何をすることなのか。

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主張とメカニズム

Lave & Wenger (1991) は、仕立屋や助産師などの徒弟制の事例をもとに、学習を「状況に埋め込まれたもの」として捉え直した。人は、共通の実践を営む人々の集まり、すなわち実践共同体に加わることで学ぶ。

新参者は最初、簡単で失敗しても影響の小さい仕事から関わる。これを正統的周辺参加と呼ぶ。「正統的」とは、周辺であってもメンバーとして認められていることを指す。参加が深まるにつれて、技能だけでなく、その共同体での話し方や価値観、自分は何者かという感覚も変わっていく。学習とアイデンティティの形成は切り離せない、というのがこの視点の要点である。

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身近な例

アルバイトの新人は、最初は品出しや片付けを任され、先輩の接客を横で見ながら覚えていく。やがてレジや新人指導も担うようになり、「この店の人」としての自覚が生まれる。マニュアルだけでは伝わらない勘どころは、このような参加の過程で身につく。

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主要概念

実践共同体(community of practice)
ある活動や関心を共有し、ともに実践するなかで知識や技能を育てていく人々の集まり。
正統的周辺参加(legitimate peripheral participation)
新参者が、メンバーとして認められつつ、周辺的な仕事から参加を始め、しだいに十全な参加へと移っていく過程。
状況的学習(situated learning)
学習は特定の社会的な状況や活動と切り離せない、とする考え方。
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代表的な展開研究

  • Brown, J. S., & Duguid, P. (1991). Organizational learning and communities-of-practice: Toward a unified view of working, learning, and innovation. Organization Science. DOI ↗マニュアル通りでない現場の実践に注目し、実践共同体を組織学習とイノベーションの源として位置づけた。
  • Orlikowski, W. J. (2002). Knowing in practice: Enacting a collective capability in distributed organizing. Organization Science. DOI ↗知識を「持つもの」ではなく、日々の実践のなかで行われる「知ること」として捉え、分散した組織での能力を論じた。
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批判と境界条件

共同体内部の協調を強調するあまり、権力関係や対立、新参者が排除される場面を十分に扱っていないとの批判がある。また、概念が経営の場で「つくって管理できるもの」として広まるにつれ、自発的に生まれる集まりという元の意味が薄れたと指摘される。何が実践共同体で何がそうでないかの境界もあいまいである。

REFERENCES

出典

  • 原典Lave, J., & Wenger, E. (1991). Situated learning: Legitimate peripheral participation. Cambridge University Press. DOI ↗

本ページは学習用の要約です。正確な引用や議論には原典を確認してください。