意思決定
研究分野「意思決定」(Decision Making)に分類される項目です(理論 13・論文 1)。ひとつの理論が複数の分野に属することがあります。
理論・視点 13
理論・視点企業の行動理論
Behavioral Theory of the Firm
企業は一枚岩の利益最大化マシンではなく、利害の異なる人々の連合体である。目標と実績の差を見ながら、限られた探索とルールに頼って意思決定する、と説明する理論。
問い企業は、現実にはどのように目標を立て、意思決定し、行動を変えるのか。
限定合理性
Bounded Rationality
人は合理的であろうとするが、情報も計算能力も時間も限られている。そのため最適解を探すのではなく、「これで十分」と思える案で満足して決める、とする考え方。
問い能力や情報に限りのある人間は、どのように意思決定しているのか。
ブルウィップ効果
Bullwhip Effect
サプライチェーンでは、小売の販売の変動よりも、上流の卸や工場へ向かう発注の変動のほうが大きくなり、しかも上流に行くほど増幅される。その原因は、各企業が手元の情報にもとづいて合理的に行動することにあるとする理論。
問い消費者の需要はあまり変わらないのに、なぜ上流の企業ほど注文の大きな増減に振り回されるのか。
意図的戦略と創発的戦略
Deliberate and Emergent Strategy
実際に実現する戦略は、事前に計画された意図的戦略だけでなく、日々の行動の積み重ねから結果として形づくられる創発的戦略が混ざり合ったものだ、という視点。
問い企業の戦略は、計画どおりにつくられるのか、それとも行動の中から生まれるのか。
エフェクチュエーション
Effectuation
起業家は、目標を先に決めてから手段を選ぶ(コーゼーション)だけでなく、手元にある手段から出発して、そこから生み出せる結果を選び、つくり出していく(エフェクチュエーション)ことがある、とする理論。
問い将来が予測できない状況で、起業家はどのように意思決定をして新しい事業や市場をつくり出すのか。
コミットメントのエスカレーション
Escalation of Commitment
自分で選んだ行動方針が悪い結果を生んでいるとき、人はその選択を正当化しようとして、かえってその方針にさらに資源を投じてしまう、とする理論。
問いなぜ人や組織は、うまくいっていない計画から手を引かず、むしろ投資を増やしてしまうのか。
期待理論
Expectancy Theory
人がある行動をとる力は、その行動が望ましい結果につながるという見込み(期待)と、その結果の魅力(誘意性)の掛け合わせで決まる、とする理論。
問い人は、いくつかの行動の選択肢の中から、なぜその行動を選び、どれだけ努力するのか。
ゴミ箱モデル
Garbage Can Model
組織の意思決定は、問題・解決策・参加者・選択機会が別々に流れ込み、たまたま同じ「ゴミ箱」に居合わせたときに起こる。合理的な手順より、タイミングで決まることが多いとするモデル。
問い目標も手段も曖昧な組織では、意思決定はどのように行われるのか。
集団浅慮(グループシンク)
Groupthink
まとまりの強い集団では、全員一致を保とうとする力が、代わりの選択肢を現実的に検討しようとする力を上回り、その結果、集団がずさんな決定を下してしまう、とする理論。
問いなぜ有能な人々が集まった集団が、ときに明らかに誤った決定を下すのか。
ヒューリスティクスとバイアス
Heuristics and Biases
人は不確実なもとで確率や数値を判断するとき、少数の簡便な判断の方法(ヒューリスティクス)に頼る。それはふだん役に立つが、ときに系統的で予測可能な誤り(バイアス)を生む、という視点。
問い人は不確実な物事を判断するとき、どのような近道を使い、それによってどんな誤りを犯すのか。
プロスペクト理論
Prospect Theory
人はリスクのある選択をするとき、最終的な財産の大きさではなく、基準点からの利得と損失で結果を評価し、確率もそのままではなく歪めて重みづけする、とする理論。
問い人はリスクのある選択を、実際にはどのように評価して決めているのか。
意味形成(センスメイキング)
Sensemaking
人は、予想外の出来事に出会うと、手がかりを拾い、もっともらしい筋書きをつくり、それに基づいて動く。組織とは、この意味づけと行動が絶えず繰り返される過程だとする視点。
問い人々は、曖昧で予想外の状況にどのように意味を与え、行動につなげるのか。
シングル・ループ学習とダブル・ループ学習
Single- and Double-Loop Learning
組織の学習には、決められた目標や前提の範囲で行動を修正するシングル・ループ学習と、その目標や前提自体を問い直すダブル・ループ学習の二つがある、とする理論。
問い組織は、なぜ誤りを直せても、誤りを生む前提そのものは変えにくいのか。
論文・書籍 1
論文・書籍Sensemaking in Organizations
組織における意味形成Weick 1995 · SAGE Publications
人々が曖昧で不確かな状況に意味を与え、その意味にもとづいて行動する過程(センスメイキング)を体系的に論じた書籍。センスメイキングの7つの特性を示した。
問い人々は、何が起きているのか分からない状況に、どのように意味を与えていくのか。