仕事と家庭の両立が、こんなに苦しいのはなぜ?
夕方の会議が延びて保育園の迎えに間に合わない。家に帰っても仕事のことが頭から離れない。仕事と家庭の両立の難しさは、個人の段取りの問題として語られがちですが、研究では、二つの役割の圧力がぶつかり合う「役割間の葛藤」として調べられてきました。
この疑問を説明する 2 つの理論
仕事と家庭の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)Work–Family Conflict · Greenhaus & Beutell 1985
仕事と家庭の役割から来る圧力が両立せず、一方を果たすことで他方を果たすのが難しくなる、とする考え方です。葛藤には、時間が足りなくなる形、一方の役割の緊張がもう一方に持ち込まれる形、求められる振る舞いが合わない形の三つがあります。自分の苦しさがどの形なのかを分けることが、手の打ち方を考える手がかりになります。仕事が家庭を妨げる葛藤は、燃え尽きや抑うつとも関連していました(重み付き平均相関 .42、.32)。
研究の根拠原典は文献レビュー(Greenhaus & Beutell, 1985)。結果との関連は67本の研究のレビュー(Allen et al., 2000)。多くは横断的な自己報告で、既婚者や中流以上の層に偏っている。98本の論文のメタ分析(Amstad et al., 2011)でも、ほとんどが米国の研究だった。
仕事と家庭の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)の解説を読む ↗資源保存理論(COR理論)Conservation of Resources Theory · Hobfoll 1989
人は時間やお金、知識などの資源を守り、増やそうとしており、それを失いそうになったり失ったりすることがストレスを生む、とする理論です。資源が乏しくなると、損失を埋め合わせられず、損失が次の損失を呼ぶ悪循環に陥りやすいとされます。仕事と家庭の両方で資源を使い続けている状態を理解する手がかりになります。
研究の根拠理論的な提案(Hobfoll, 1989)と、組織研究の整理(Halbesleben et al., 2014)。「資源」の範囲が曖昧だという批判がある。
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バーンアウト(燃え尽き)Burnout · Maslach & Jackson 1981
仕事上の慢性的なストレスへの反応として生じる、消耗感、シニシズム、効力感の低下からなる状態です。仕事と家庭の葛藤は、燃え尽きとも関連していました。
研究の根拠Maslach et al. (2001) のレビュー、Allen et al. (2000)(10標本)。
ここに挙げた理論は、疑問を考えるための手がかりです。どの理論がよく当てはまるかは、組織や状況によって変わります。
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