M·T·AManagement
Theory Atlas
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EVERYDAY QUESTION

上司の暴言や嫌がらせは、なぜこんなにこたえるのか?

人前で怒鳴られる、話しかけても無視される、成果を横取りされる。上司からのこうした扱いは、仕事への気持ちだけでなく、心身の状態や家庭での生活とも結びついていることが分かってきました。研究では、上司が部下に敵意のこもった態度を向け続けることを「虐待的管理」と呼び、その影響と、なぜ起こるのかを調べてきました。

この疑問を説明する 3 つの理論

01

虐待的管理(アビューシブ・スーパービジョン)Abusive Supervision · Tepper 2000

上司が、敵意のこもった言葉や態度を継続的に示していると部下が知覚する程度を指す概念です。米国の従業員を6か月の間隔で追った研究では、こうした扱いを強く知覚している人ほど、その後の満足が低く、抑うつや消耗感、仕事と家庭の葛藤が強く、自分から辞める人も多くなっていました。職務満足や抑うつなど一部の影響は、他の職に移れる見込みが低いと感じている人ほど強く現れました。

研究の根拠米国の従業員362人を2時点で調べた研究(Tepper, 2000)と、140の標本のメタ分析(Mackey et al., 2017)。どちらも部下の知覚に基づき、多くは自己報告の調査。日本の標本は含まれていない。

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02

組織的公正Organizational Justice · Colquitt 2001

上司からの扱いが部下にこたえる理由の一つは、それが不公正な扱いとして受け止められるからだと考えられています。虐待的管理の研究でも、その影響の多くは、組織から公正に扱われていないという知覚を通じて生じていました。メタ分析では、虐待的管理の知覚は、対人的な公正の知覚と強い負の関連がありました(ρ = −.66)。

研究の根拠Tepper (2000) の媒介分析と、Mackey et al. (2017) のメタ分析(対人的公正は5標本)。

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03

バーンアウト(燃え尽き)Burnout · Maslach & Jackson 1981

上司からの継続的な敵意は、心身のエネルギーを使い果たした状態である情緒的な消耗感と結びついていました(ρ = .36)。燃え尽きの研究では、燃え尽きは、仕事量や公正さ、職場の共同体などの領域で、人と仕事の環境とのずれが慢性化すると生じるとされます。つらさを本人の弱さの問題にせず、職場の環境の問題として捉える手がかりになります。

研究の根拠虐待的管理と情緒的消耗感の関連は、15の標本のメタ分析(Mackey et al., 2017)。燃え尽きの枠組みは Maslach et al. (2001) のレビュー。

バーンアウト(燃え尽き)の解説を読む ↗

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仕事と家庭の葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)Work–Family Conflict · Greenhaus & Beutell 1985

上司からの扱いの影響は職場の中にとどまりません。虐待的管理の知覚は、仕事が家庭の役割を妨げる仕事から家庭への葛藤とも関連していました(ρ = .35)。

研究の根拠6標本のメタ分析(Mackey et al., 2017)。

LMX理論(リーダー・メンバー交換理論)Leader-Member Exchange (LMX) Theory · Graen & Uhl-Bien 1995

上司と部下の関係の質を扱う理論です。虐待的管理の知覚は、上司との関係の質の低さと強く結びついていました(ρ = −.54)。

研究の根拠11標本のメタ分析(Mackey et al., 2017)。

ここに挙げた理論は、疑問を考えるための手がかりです。どの理論がよく当てはまるかは、組織や状況によって変わります。

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